S&Dセレクション

デジタルサイネージで見せる3Dアート&トリックインタラクティブ マジョリカ マジョルカプロモーション

世界初!? 3Dトリック×デジタルサイネージ 東京メトロ新宿駅に魔法の博物館出現!

2017年2月13日から19日の期間、女の子の尽きない“かわいい”への欲望を叶えるセルフメーキャップブランド「マジョリカ マジョルカ」のプロモーションが、東京メトロ新宿駅東口改札 定期券売り場前コンコースのデジタルサイネージ「Metro Concourse Vision(MCV)」にて実施された。

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博物館のショーケースをイメージ デジタルサイネージに魔法をかけた

今回、実施したプロモーションは、9本の柱に設置されているデジタルサイネージ35面に、異なる映像を放映し、ひとつの作品として空間をデザイン。デジタルサイネージを博物館のショーケースに見立てて「マジョリカ マジョルカ」の人気アイテムを浮遊させ、その中をマジョリカバードが飛び回る仕掛けが施された。また、全ての柱の動画制作は3Dアートの手法を駆使しており、これまでになかった、世界でも類をみないデジタルサイネージ広告ということで注目を集めた。
 規制の厳しい地下鉄広告で、どのようにしてこのプロモーションを実現させたのか、アートディレクターの松川美沙氏と映像ディレクターの高橋 紗登美氏に話を伺った〔両氏ビービーメディア(株)〕。

 

ブランドイメージを具現化 魔法の世界への入り口を日常に

ープロモーションのコンセプトと内容を教えてください。

 

 松川「マジョリカ マジョルカの“かわいいの秘密”が隠れた魔法の博物館」をコンセプトに、日常の中に突然現れる博物館を目指して作り上げました。
 「マジョリカ マジョルカ」は、ブランドの基本に“物語”があり、女の子がかわいくなっていくというストーリーに合わせて商品をどんどん発表していきます。そういった“物語”を意識して、日常の世界に突如として魔法の世界への入り口が現れ、女の子たちが秘密の世界に入っていけるようなイメージにしました。
 ネットでも、多くの女の子たちがこの中に入りたい!という書き込みをしていたので、成功したのではないかなと、思います。
 コンテンツは、9本の柱に、マジョリカ マジョルカの代表アイテムが個々のお部屋に入っていて、その中をマジョリカバードが飛んでいく、というようなものになっています。
 アイテムは、全部で4種類です。本当は、全部異なる商品を入れたかったのですが、制作期間やいろいろな問題で、4つの商品を入れることになりました。これらも、どのように配置するのが一番バランスのとれたデザインになるのか、視認性が高められるかなど考えました。
 さらに、ただここで体験するだけでなく、そのあとに、なにか持ち帰ってもらうため、かわいくなりたいと願う女の子の前に現れるマジョリカバードがお手紙を落として、そこからQRコードが読みとれるようにしました。 
 QRコードを読みとると、カード占いができます。9枚のカードから1枚選ぶと、マジョリカ マジョルカの商品と、あなたの隠された秘密や魅力などが表示され、そのままブランドサイトへもつながるようにしました。この場所に行くと楽しめる仕組みが作れたのがよかったです。

9本の柱の俯瞰図 

▲ 9本の柱の俯瞰図。

 

ー世界観を作り上げる上で、重要なことは何ですか。

 松川 デザインを細部に至るまでこだわることだと思います。たとえば、商品の奥には壁を配置しているのですが、この壁のデザインはそれぞれ商品に関わるものになっています。マスカラだと、まつげをイメージして作られた唐草模様を商品パッケージから取ってそれを元にデザインしました。
 デジタルサイネージの中が商品それぞれのお部屋みたいになっています。世界観を大切にするためには、細かいところまで作りこむことが重要だと思います。女の子って、細かいところの作り込みに気がついたとき、「あ!」という発見にときめくと思うんですよね。ワクワクするような作り込みは、大切にしたいなと思っています。

 

 

 

 規制の多い地下鉄構内を クリエイティブでカバー

ー3Dアートにする場合、コンテンツ制作はどのような感じなのでしょうか。

 

 高橋 3Dアートは、トリックアートと同じで、正面からみると不自然な見え方になります。制作中は歪んで見えているので完成がとても不安でした。
 でも、本番1週間前のテストで、しっかりと立体的に見えたので、安心しました。とくに写真に撮ると、より立体的に見えるんです。現場で見た人はもちろんドキッとすると思うんですけど、そのあと記録として残す場合には、より一層不思議な世界観を残すこができるコンテンツとなりました。

 

ー規制の厳しい地下鉄構内で、どうしてこのような広告が実現できたのでしょうか。

 

 松川 作業を進めていくと、地下鉄構内(東京都道下)は、道路上と同じような扱いということで、人感センサーを付けることはもとより、思わず立ち止まってしまうようなインパクトのある映像や、飛び出してくるような立体感ある映像も放映できないことがわかりました。動線を妨げず、歩きながらでも見てもらえるコンテンツにするよう気をつかいました。
 そのため、このプロモーションには、人感センサーなどは使用していません。近づくとマジョリカバードが、羽ばたいていくように感じるのですが、それはそのように感じるようなトリックで、実際は、アニメーションを繰り返し放映しているだけなんです。スマートフォンの普及などで、多くの方がインタラクティブな体験に慣れている今だからこそできたことだと思います。
 あたかも自分に反応したかのような映像体験ができ、最後はQRコードをスマートフォンで読み込むとカード占いができるなど工夫をしました。トリックでインタラクティブなことが感じられるようなコンテンツを目指しました。

 高橋 この映像は、通路の内側が30秒、外側が20秒ぐらいのループになっています。ずーっと流しているだけなのですが、ここに鳥を飛ばすとなると、1面ずつ何秒ごとに鳥を出現させればつながっているように見えるか、計算します。
 さらに、浮遊している商品は4秒のループです。そこに鳥が通ると同時に光がついていき、商品が照らされます。ぴったりとループを行うには、鳥のスピードと光、商品の浮遊の計算が必要で、さらに、人が体感しても不愉快にならない時間で、かつ通行量の多い場所で立ち止まったとしても許される時間、また立ち止まらなくても歩きながら楽しめる時間を構築しないといけませんでした。シンプルなようで複雑な映像になっています。
 また、一番きれいに見える角度についても、かなり話し合いました。結果、少し歪んでいたとしても、一般的にきれいに見える角度、少しズレていたとしても、目が補完してくれるであろう範囲で設定することになりました。

 松川 視点の高さは、女性の平均的な身長である160センチの目線で一番きれいに見えるようにしました。実際は、そこまで計算して作られていることはわからないと思いますけど、そういったところまでこだわりました。

 高橋 あとは各商品のネームプレートの位置ですね。同じ商品が放映されているので、ぱっと見、同じ映像が並んで見えるかもしれませんが、商品名を載せているネームプレートは、デジタルサイネージの場所によって見やすい位置に変えています。

 

 

▲ マジョリカバードが飛ぶ軌道に光が続き、アイテムを明るく照らしているのがわかる。

 

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▲ 2面を使い、一つの商品を立体的に見せている。

 

ーなぜあえて規制の厳しいこの地下鉄の場所を選んだのですか。

 

 松川 最初からデジタルサイネージでやろうと決めていたわけではないのですが、インタラクティブでお客様の心に残る、今までになかったコミュニケーションという話だったので、スマートフォンのアプリや診断コンテンツなど、様々なアイディアがあがりました。話し合いを重ねた結果、いつもの日常に不思議な空間を作ったらおもしろいのでは、ということで、毎日の通勤など生活動線上で、意識せず接している交通広告のデジタルサイネージでやろうということになりました。
 企画をある程度かためてから場所を探したんです。考えた企画を行うには、4面のデジタルサイネージで、さらにフレームが細いほうがいいという条件でした。東京メトロの新宿駅は、ブランドのターゲットとなる若い女性が多く通り、4面でかつ細いフレームで、ジャック(1社のみで使用)できるためここにしました。

 高橋 この場所は、JRや地下鉄の乗り換えや地下道として利用する人がおり、通行が入り乱れているので、柱の間を縫っていく人も多いんです。通りすがら「あれ?」と、目を向けてくださる通行人を見たときに、ここでよかったな、と思いました。

 

ー資生堂とはもともとお付き合いがあったんですか。

 

 松川 マジョリカ マジョルカというブランドができたときからCMやWebサイトなどを制作させていただいてます。宣伝部の方と一緒になにを作るか考えます。とくに、若い女の子がなにを見たいと思っているのか、などを話し合っています。
 これからも、新しいことにチャレンジされるのではないかな、と思います。
 

 

▲ フレームを白くデザインした案内板。これも4面異なる動 画が放映されている。

 

▲ 4種類のアイテム。背景の壁紙デザインがそれぞれ異なり、商品にあった細かいつくり込みがされている。

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▲ マジョリカバードが手紙を落としていく様子。手紙が開くとQRコードが現れる。


《制作スタッフ》
■(株)資生堂 
クリエイティブディレクター:小助川 雅人
Webディレクター:矢村智明
アートディレクター:成田 久
コピー:田中翔子
■ビービーメディア(株) 
エグゼクティブプロデューサー:吉川雅人
【映像】
プロデューサー:佐藤 励
プロダクションマネージャー:宮本 安祐佳
ディレクター:高橋 紗登美
モーショングラフィックデザイナー:楊 暁東・岡 美里
プロダクションアシスタント:小峰研也・
廣川華子
【インタラクティブ】
プロデューサー:乙井菜奈
アートディレクター:松川美沙
デザイナー:安武 由季世
テクニカルエンジニア:中野 兼太郎
ディレクター:吉田安沙

協力:(株)フリークアウト
カメラ:佐々木 雅史
美術:徳富 厚
CG:(株)デジタル・ガーデン

広告会社:(株)メトロ アド エージェンシー



【動画配信中】

 

 

問い合わせ

(株)メトロ アド エージェンシー
Tel.03-5501-7845
http://www.metro-ad.co.jp

 

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