S&Dセレクション

〈2021.4.13〉車用コーティング剤を看板に応用(KeePer技研)

サイン業界のニーズにあわせて
新たなコーティング剤も開発していきたい。

車用コーティング剤の開発・製造・販売をはじめ、洗車・コーティングの専門店「キーパーLABO」の運営などを行うKeePer技研(株)(愛知県大府市)。同社が看板用としてコーティング剤の販売を開始、今、サイン業界で注目を集めている。

▲ ダイヤモンドキーパーを施したKeePer技研の大型屋上看板(約130㎡:W12,850mm×H10,100mm、塩ビシート+ラミネート)。半年が経った今でもまったく汚れずに看板の美観を保っている。


一度塗ったら5年間汚れない


 KeePer技研は、現在の代表取締役会長兼CEOの谷 好通(たに よしみち)氏が1985年にガソリンの販売を目的に創業〔当時の社名は(株)タニ〕したのが始まり。今では、カーコーティングと洗車の専門店「キーパーLABO」95店舗と、カーコーティング技術認定店の「キーパープロショップ」が6,000店舗以上の規模まで広がり、「KeePer」のロゴは全国区と言ってもよいだろう。
 また、KeePerコーティングは、年間300万台ほどに施工を行っている。ベストセラーのダイヤモンドキーパーは、一度塗ったら5年間(年に1回のメンテナンスを推奨)汚れることなく、キレイなボディを維持できると好評だ。このほか、新車用コーティングのEXキーパーも人気である。


▲設置後6ヵ月が経過した、「ダイヤモンドキーパー」コーティング済みのKeePer技研の大型看板。タオルで拭いて確認したが、汚れは全く付いていなかった。




高い柔軟性を持つガラスコーティング剤


 ダイヤモンドキーパーは、“ガラス被膜”と“レジン被膜”の2層構造のボディガラスコーティング。1層目のガラス被膜は、分子的結合を比較的低分子にコントロールしたアルコキシオリゴマーであり、特殊な柔軟性がある(硬度4H、塗装と同程度)。そのため、塗装の熱伸縮に追従することができ、分厚い被膜をつくっても剥がれないという。被膜の厚みは約1ミクロンと、一般的なガラスコーティング膜の50~100倍であり、耐候性が増すとともに、塗装面の艶を損ねている微細傷や凸凹を埋めて、被膜表面を厳密に平らにする。
 また、このガラス被膜は本質的に無機質であり、酸性雨や紫外線に対しての防護能力を持っているという。時間をかけてじっくりと空気中の水分(湿気)と反応させて被膜を硬化させるので、非常に密度の高いボディガラスコーティング膜を形成する。
 谷氏は『ガラスコーティングというのは、SiO2(二酸化ケイ素)が結合してできています。ダイヤモンドキーパーは、SiO2を格子状に連続して結合させているのではなく、間にクッションを入れています。分子が連続して巨大にならないようにコントロールしているんです。その状態をアルコキシオリゴマーと呼ぶのですが、ダイヤモンドキーパーは低分子と低分子がクッションで繋がっている状態のガラスですので、柔軟性が非常に高いんです』と語る。この技術は特許も取得しており、『そう簡単にはできません』と谷氏は自信を示していた。


▲ コーティング前(写真左側)とコーティング後(写真右側)の見え方の比較。「ダイヤモンドキーパー」は看板に直接塗っても良いし、インクジェット出力後、すぐに塗ってもOKだ。


▲ 写真は、「VP326」でコーティングした部分としていない部分を比較したもので、縦目地の左側がコーティングなしで、右側がコーティングあり。コーティングした部分が、全く汚れていないのがわかる。




販売代理店および製品開発パートナー募集中


 屋外広告物は、景観形成において重要な構成要素だ。その地域にそぐわない看板デザインがNGなのは当然だが、デザインが良くても汚れていてはよろしくない。KeePer技研は2020年10月より、ダイヤモンドキーパーを施した大型屋上看板( 約130㎡:W12,850mm×H10,100mm、塩ビシート+ラミネート)を、名古屋市中区大井町付近(都心環状線)に掲出。ダイヤモンドキーパーが水だけでなく、汚れも弾いてくれるので、半年が経った今でもまったく汚れずに看板の美観を保っている。
 ここでは、1本75mlのダイヤモンドキーパーを8本使用。同事例もそうだが、クリエイティブの出力後、ついでにコーティングもといった感じで、簡単に作業することができるので、長期にわたって綺麗な看板を掲出したいのならおすすめだ。
 『今後はサイン業界のニーズにあわせて、看板に特化したコーティング剤も開発していきたいです。また、当社の全国13ヵ所にある研修所では、毎日のようにカーコーティングの研修会を実施しており、年間5 万人の方が受講されています。これを看板業者様向けにも実施したいと考えています。ご希望であれば、こちらからお伺いさせていただき、看板業者様の会社で研修を実施させていただこうとも思っています』と谷氏からは新たな分野への意気込みを感じた。 
 なお、KeePer技研では現在、同社のコーティング剤の販売代理店および製品開発パートナーを募集している。看板屋や出力会社、プリンターメーカーや商社など、興味のある方は下記へ問い合わせてほしい。


【問い合わせ】
KeePer技研(株)
愛知県大府市吉川町4-17
Tel.0120-517-158
http://www.keepercoating.jp/corp/

 

 

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