S&Dセレクション

〈2020.5.14〉アートの分野でネオンの地位を確立し、あらためて市場を確立させる。

▲ アオイネオンが企画・デザイン・設計・製作・ 施工を行った「お茶の市川園」の屋上ネオン塔(静岡市葵区)。





ネオン誕生から120年

 ネオンは今から120年前の1900年に、新しい照明のひとつとしてフランスで開発。パリ万博に出展され、多くの人の目に触れることになった。日本(日比谷公園)で国産のネオンが公開点灯されたのは1926年で、パリ万博でネオンが初公開されてから26年後のことだ。
 ネオン管は、ガラス管の中にガスを封入して、電極から放電させることによって、電子とガスの分子がぶつかって発光する仕組み。ガス燈のような温かみのある光が見られるのも特徴だ。一方、LEDは半導体の素子に電圧を加えることで光るのだが、素子が光っているので光が直線的なのが特徴。ただ、その光り方は並べて見てみないとわからないくらいLEDも進化している。

▲「 Aoi Neon」というタイトルの楽曲も作っているミュージシャンの石野卓球さんとのコラボで誕生したシンボルマーク「ヘキサゴン・アイ」。石野さんのライブ演出のひとつとして使用され、注目を集めている。このネオンオブジェはライブがないときは通常、渋谷パルコB1FのGANBAN(ショップ)に置かれているという。


▲ 石野卓球さんのライブの様子。

 




ネオン職人の高齢化

 昨今では、ビルの規定でネオン管をつけられないところが多く、屋外・屋内ともにネオン管を使ったサインの数は大きく減少、代わりにLEDを光源とする照明が多くを占めるようになった。アオイネオン(株)の荻野 隆氏は以下のように語る。
 『ネオンが減り始めたのは10〜15年前じゃないでしょうか。ちょうど各社がオリジナルのLED照明をつくり始めた頃で、少しずつネオンからLEDへと切り変わっていきました。
 ネオンは職人がいないとつくれないですし、現場で作業するのにもネオン工事技術者資格が必要ですので、昔は“ネオンができる看板屋”と“ネオンができない看板屋”は差別化されていて、ネオンを扱える看板屋の方が優位に立っていたんです。なおかつ、ネオンができる看板屋は少なかったので貴重な存在でした。それが、LEDが出てきたことで状況は大きく変わりました。LEDは配線や設置が簡単なので、多くの看板屋が扱うことができます。そういう経緯があって、市場ではLEDが主流になり、ネオンはなくなっていってしまったんです』。
 ネオンが減少した理由のひとつに“ネオン職人の高齢化”がある。今後もネオンを残していくのであれば、やはり後継者を育てなければならないだろう。




ネオンにはストーリーがある

 ネオンというと、電気代がかかるというイメージを持つ人も多いのではないだろうか。実はそんなことはなく、ネオンはもともと省エネな照明として開発されており、LEDと比べても僅差なのだ。また、映画でバチバチと音を立てるシーンのイメージが強いのか、ネオンを危険なものと思っている人も多い。しかし昨今では、低電圧で点灯するように改良され、触っても問題ないネオンもある。

 



……… 続きは月刊サイン&ディスプレイ2020年5月号

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