国内事例

オレンジインクがなければここまでインパクトある色は出せなかった。

建材インテリア素材にグラフィック画像をダイレクトに印刷する、(株)サインアーテックのオンデマンドプリントサービス「Sign-terior(サインテリア)」。今回は、この「Sign-terior」を電飾看板のように使用した、非常に画期的な事例を中心に、同社が考える「Sign-terior」の今後の展開について紹介しよう。

建材インテリア素材にダイレクト印刷

(株)サインアーテックが提供する「Sign-terior」では、縦型ブラインド、ロールスクリーン、カーテン、壁紙、床材の 5 つの建材インテリア素材へのダイレクト印刷が可能であり、中でもグラフィックを施した縦型ブラインドは、サインアーテックの独自技術を活用した、同社おすすめの製品となっている。今回紹介するのは、この縦型ブラインドを電飾看板のように使用した初めての事例だ。


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縦型ブラインドが電飾看板に!!

美容師専用のハサミメーカーである(有)水谷理美容鋏製作所(ミズタニシザーズ)は、約150種類以上あるハサミの中から自分に合ったハサミを選ぶことができるショールーム「MOYOconnection(モヨコネクション)」(東京都港区北青山)を2014年3月にオープンした。ビルの3階にある同ショールームの窓に視線を移すと、同社のコーポレートカラーである鮮やかなオレンジが目に飛び込んでくる。オレンジをベースに大きなハサミがデザインされた縦型ブラインド(素材:ポリエステル、サイズ:H2,500mm×W6,000mm)が、窓いっぱいに設置されている。同縦型ブラインドは、ラテックスインクを搭載した「JV400LX」(ミマキエンジニアリング社製)で印刷、さらにオレンジインクを使用することで4色プロセス印刷では表現しきれなかった色彩領域の再現に成功している。そして注目してほしいのが、夜になったときの縦型ブラインドだ。普段から使用しているショールーム内の照明がそのまま光源となり、縦型ブラインドは、まるで電飾看板のような表情を見せる。


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縦型ブラインド(素材:ポリエステル、サイズ:H2,500×W6,000mm)にラテックスインク搭載の「JV400LX」(ミマキエンジニアリング社製)で印刷。オレンジインクを使用することで4色プロセス印刷では表現しきれなかった色彩領域の再現に成功している。なお、出力データの編集時には、縦型ブラインドの羽の数に合わせてデータ上で印刷するグラフィックを分割、羽と羽が重なり合う部分のことを考慮の上、画像を継ぎ足しながらオーバーラップデータを制作している。縦型ブラインド(素材:ポリエステル、サイズ:H2,500×W6,000mm)にラテックスインク搭載の「JV400LX」(ミマキエンジニアリング社製)で印刷。オレンジインクを使用することで4色プロセス印刷では表現しきれなかった色彩領域の再現に成功している。なお、出力データの編集時には、縦型ブラインドの羽の数に合わせてデータ上で印刷するグラフィックを分割、羽と羽が重なり合う部分のことを考慮の上、画像を継ぎ足しながらオーバーラップデータを制作している。


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ビルの3階に掲出された、縦型ブラインドを使った「MOYOconnection」(http://www.mizutani-scissors.com)の広告。

サイン技術とインテリアの融合で思いどおりの空間をつくってほしい

縦型ブラインドは本来、遮光や目隠しといった用途で使用されるものだが、サインアーテックの縦型ブラインドは、少し光を取り入れたいという要望に基づき生まれた製品だ。もちろん本来の機能である目隠しや採光調節といった機能も有しているので、昼間はそれらの機能を生かしながら、グラフィックにより外に向けて情報を発信、そして夜は店内の電気をつけて、電飾看板として使用する。光源が普段使用している照明なので、新たに照明器具を用意する必要もなく、非常に効率的なサインだと言えるのではないだろうか。

同社は今回の案件について次のように話している。『雑居ビル街やオフィスビル街というのは、1階の誘導サインがどうしても気づきにくいものになりがちです。そういった中で、今回のように窓を使ってインパクトのあるグラフィックを掲出すれば、1階の弱い部分をかなり補えます。いろいろな制約がある中で、窓を有効に使うということは非常に効果的だと思いますし、オーナー様にも満足していただいています。また、オレンジインクがなければここまでインパクトある色は出せなかったと思います。オレンジインクをうまく使えたという意味でも、私たちにとっても良い経験になりました』。

さらに「Sign-terior」の今後の展開についても話してくれた。『まずは、インクジェット技術を活用すれば、完全オリジナルデザインのインテリアが製作できるということを多くの方に知っていただきたいです。お客さんのニーズやデザインも高度化していると思いますので、是非この技術をうまく活用していただきたいです。「Sign-terior」には、文字のごとくサイン技術(インクジェット出力)とインテリアを融合して、思いどおりの空間をつくってほしいという思いを込めています。そういった意図をどれだけ広く伝えられるかが普及への鍵になると思いますし、今回のような実例を多く世に出していくことが重要だと思っています。次にサイン業者の視点で言わせていただくと、夜になれば電飾看板にもなるので、お客さんから、ちょっと変わったものがほしいとか、もっと目立たせたいといった要望があったとき、窓さえあれば簡単にインパクトのあるものを掲出できる縦型ブラインドは、提案もしやすいと思います。そして今後は、縦型ブラインドにプロジェクターを使ってリア照射するといった、デジタルサイネージの要素も組み込んでいこうと考えています』。


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京都の老舗漬物処「田辺宗」(http://www.tanabeso.jp)には、ロールスクリーンタイプの「Sign-terior」が設置されている。左のロールスクリーンは幅 3,000mm、右が 1,200mm。いずれも「HP Scitex LX850」で印刷された。

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